メタバースにおける著作権について、興味がある方向け。
とある企業がメタバース上に現実の街相当を気づき、そこを旅行してもらうことでコロナ下で制限された状況でも、観光を楽しめるようにする、と発信していたことについて、権利関係はどのようになるのか興味を持ちました。
建物の著作権
こちらのサイト(https://visual-shift.jp/5103/)の解説が大変わかりやすかったので参考にさせていただきました。
前述のサイトで示す通り、日本の法律において建物の著作権の規定は、「禁止行為として定められているのは、全く同じ意匠の建築物をつくる行為と、土産物のような複製物を作って、公衆に提供する行為だと明記されています。」と解することができます。
(公開の美術の著作物等の利用)
第四十六条 美術の著作物でその原作品が前条第二項に規定する屋外の場所に恒常的に設置されているもの又は建築の著作物は、次に掲げる場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。
一 彫刻を増製し、又はその増製物の譲渡により公衆に提供する場合
二 建築の著作物を建築により複製し、又はその複製物の譲渡により公衆に提供する場合
三 前条第二項に規定する屋外の場所に恒常的に設置するために複製する場合
四 専ら美術の著作物の複製物の販売を目的として複製し、又はその複製物を販売する場合
写真を撮る場合などは、管理敷地の外からなら問題なく撮影することが可能なようです。個人的にSNSなどにアップすることも可能です。
ただし、その写真を商業利用する場合は、注意が必要です。これは建物が有名なランドマークであると建物に商標権を設定しているからだそうです。著作権の問題からは利用可能だが、商業的にはグレーといった感じでしょうか。
メタバースの建物は著作権または商標権で規制されるか?
軽い気持ちで調べ始めましたが、専門家の判断が必要だと思います。
管理人の私的な意見では、メタバース上の建物はあくまでデータであり、現実の建物を複製しているわけではない。したがって前述の著作権の規定には抵触しない、と考えています。また商標権に関しては、商標登録された建物をことさら強調して表現しなければ、商標権の侵害に当たらないと考えています。
繰り返しになりますが、あくまで法律の専門家ではない管理人の試験であるため、メタバース上に現実の建物相当のデータを作成する際は、専門家の判断を仰いでください。特にそのメタバースデータによって利益を得るような商業利用を行う場合は注意が必要です。
あとがき
メタバース上の建物という少し変わった切り口で今回は書いてみましたが、思ったより複雑でした。メタバース関連の権利に関する法律も整備が遅れている印象です。例えば、メタバース上で、あなたが店舗を運営するときに、某有名ブランドのロゴを勝手に使って店を出せし、商品(データ)を販売すれば、間違いなく商標違反になります。売っているものはデータに過ぎないにもかかわらずです。これが建物であった場合、建物の複製を売っている(または勝手に複製している)ことになるのかそれとも単なるデータであるから建物の複製に当たらないのかは、悩ましいです。今後の法律の動向を見守りたいです。