study

性とは二極ではない!?生物学の新たな知見”性スペクトラム”

先日ラジオで面白い話題を放送していたので、備忘録がてらに書いてみます。

管理人は、色々雑多な科学知識を見聞きすることが好きで、書店などで話題の本などをあさったりします。

専門が、情報工学の系統なのでソフトウェア関連に偏ることが多いですが、それに次いでよく触れるのが生物学です。

生物は割と実社会の技術に応用されていることが多く、親しみを感じているためだと思います。

そのようなわけで、生物学の面白い知識があるとつい聞き耳を立ててしまうのです。

性を決定するのは何か

生物学で、雌雄を決定する要因は何かというのは、昔から大きな論点であったそうです。

体が大きい方が雄なのか、というとそうでもない。

体色が派手な方が雄なのか、というとそうでもない。

子供を育てるほうが雌なのか、というとそうでもない。

では、決定する因子を考えたときに、何なのか。

現在では生殖器の種別が決定因子になっていると考えられているそうです。

そして我々は、この雌雄が一生を通じて変化しないという考えている方が多いと思います。

しかし、本稿のテーマである、性スペクトラムという考え方は、この常識を覆します。

性スぺクラムという考え方

ラジオの解説から管理人が理解したことよれば、「性スペクトラム」は”生物の性は雌雄どちらに性が偏っているわけでなく、両極の間の連続した中に存在する”という考え方です。

ラジオでは、下記の本の著者の方がゲストで解説をしていました。


プリズムによる分光で光の帯が連続しているように、性が雌雄どちらかではなく連続しているという考えから、性スペクトラムという名称で呼ばれるようになったそうです。

カクレクマノミの性転換

ラジオで性スペクトラムを示す実例としてカクレクマノミが紹介されていました。

この魚は、一生を通じて性転換を行い、雌雄が入れ替わるときがあります。

性が決まる条件は、群れの中における自分の体の大きさです。

うまれた状態では、雌の性別となります。

しかし群れの中で最も体が大きな場合、性別が雄に変化します。

このように一生で性が入れ替わるのです。

ハゼの仲間の性転換

番組中でより面白い様相を示す例として示されていたのは、ハゼの仲間です。

ある種のハゼは、一生で雌雄を行き来します。

雌雄の決定条件は、群れの中に雄がいるかいないかです。

すでに1匹の雄が存在する群れでは、それ以外の魚の性別は雌となります。

群れから何らかの理由で雄がいなくなると、雌のうちの1匹が雄に性転換するそうです。

また群れに何らかの理由で別の雄が加わると、元の雄が雌に戻ることもあるそうです。

実に不思議な生態です。

人間に見られる性スペクトラム

人間も生まれたてに近い時は、男女差が顕著ではありません。

成人に近づくにつれて、性差が顕著になります。

しかし、老人になるにつれて性差が少なくなります。

性転換こそしないものの、これも性スペクトラムといえるのではないか、と番組では紹介されてました。

あとがき

今回は、生物学における性スペクトラム、という考えについて紹介しました。

性転換する生物がいることは知っていましたが、原理がまだわかっていないことも多く今後の研究が期待されます。

魚類は特に面白いですね。

生物構造をまねることで機能を模倣する製品や、新薬の開発が行われていますがこの分野がより明らかになることで新しい知見が生まれる日を楽しみにしたいと思います。

-study
-,