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2022年4月 高校における金融教育が始まる

2022年4月から導入される金融に関する高等学校の授業について。
高校の授業でいわゆる「お金」の授業が導入されるとのこと。
どのような授業内容になるのか、今後どのような影響が生じるのかについて考えてみたいと思います。

高等学校における金融教育

所管は文部科学省であることは従来の教育から変わりはありませんが、金融庁が関わっているようです。
実際、高校生だけでなく中学生から対象にして授業外でも参考にできる資料を金融庁のweb(https://www.fsa.go.jp/teach/chuukousei.html)で公開しています。

高校から金融教育を始める目的

正式なものを調べる際は、学習指導要領(https://www.mext.go.jp/content/1384661_6_1_3.pdf)をあたるのが最もよいでしょう。
しかしながら、これを読み込むのはかなり大変です。
本投稿を読んでいる高校生がいらっしゃれば、がんばれば読めると思うので読んでみてください。
自分が受けている授業が何を目的として実施されているかを知っているか知らないかでは理解度が異なります。
さて、管理人が事前に調べたところ、教科としては新設される「公共」で金融経済、「家庭科」で資産形成についてを授業するようです。
2022年度から適用の高等学校の学習指導要領には次のような記述があります。

学習指導要領の抜粋

公民の部分
次のような知識及び技能を身に付けること

職業選択,雇用と労働問題,財政及び租税の役割,少子高齢社会における社会保障の充実・安定化,市場経済の機能と限界,金融の働き,経済のグローバル化と相互依存関係の深まり(国際
社会における貧困や格差の問題を含む。)

「金融の働き」については,金融とは経済主体間の資金の融通であることの理解を基に,金融を通した経済活動の活性化についても触れること。

家庭科の部分
オ(注釈:家庭生活における経済の計画と管理)については,家族の生涯の経済設計や家計の収支,金融,社会保障などと関連付けて扱うこと。
~金融以外のキーワードだと以下のようなものも見つかる
家計の構造や生活における経済と社会との関わり,家計管理について理解すること。
生涯を見通した生活における経済の管理や計画の重要性について,ライフステージや社会保障制度などと関連付けて考察すること。

将来にわたるリスクを想定して,不測の事態に備えた対応などについても触れること。(2)のアについては,多様な契約やその義務と権利について取り上げるとともに,消費者信用及びそれらをめぐる問題などを扱うこと。

改定の意図を想像してみる

公共でも金融について触れてはいますが、金融経済についての学習のようなので、これまでの社会科の中身からそれほど新しさはないと思います。
どちらからというと、家庭科の中の金融に関する記述のほうが目新しいです。家計管理や将来設計についての知識を強化する狙いが見えます。
また2022年4月からの成人年齢引き下げを受けた、金融トラブルに対する対処を意図したところもありそうです。

教科の意図として、「お金の儲け方」ではなく金融リテラシーの向上を目的としているようです。
これは金融庁が公表している資料(https://www.fsa.go.jp/news/r3/sonota/20220317/digest.pdf)から見てもわかります。
この資料からは、お金儲けの方法は読み取れませんが、金融リテラシーとして最低限抑えたい内容が記載されてます。
たとえば、「収入 - 貯蓄 = 支出」などは、貯蓄を行うベースとなる先取り貯蓄の考え方です。
あとは、福利や借金(奨学金)などの考え方も書いてあります。
いずれも人生の早い時期にしておくことで長い時間をかけて効果を発揮する知識です。
これらを重点的に押さえることで、不安定な現代における資産形成を後押ししたいということなのでしょう。

あとがき

高校から導入される金融教育について調べてみました。
日本ではお金儲けが卑しいと考えられがちですが、正しい方法でお金を得ることは全く卑しいことではありません。
今回の金融教育の導入が若年層のマインドを変える第一歩になればよいと思ってます。
またうがった見方をすれば、積極的に金融リテラシーを身につけリスクをある程度取らなければ資産が増やせないようになったのだと思います。
預金を預けていれば安泰な時代が確実終了したのだと。

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